内装が勢揃い

投資家の行動は将来価値の前取りのように購入意欲が強くなり、REITの普通株は自ずと値上がりする。
また、FFOでは不動産の入れ替え(外部成長)とプロパティマネジメント(内部成長)によって、FFO倍率(=REITの時価総額÷FFO)を下げることが求められる。 投資家からすれば、FFO倍率の裏返しは「利回り」を意味しており、FFO倍率が高いものは「利回り」が低いと認識する。
たとえば、FFO倍率が10〜16倍のとき、「利回り」は10〜6.25%を指していることになる。 この「利回り」は他の金融商品と競合し、金融情勢によって投資家が要求する「利回り」も変動する。
なお、減価償却の取り扱いは会計的なもので、しかも日本では新規取得(平成10年4月1日以降)は原則「定額法」によって帳簿上は計上される。 しかし、実際にはNOIによりキャッシュフロー重視によって、キャップレートなど「利回り」の中に含んで考えるのがここ数年一般的になっている。
実際に過剰な設備を行い、それに伴うリターンがなければ投資効率は当然良くないと判断される。 このような物件は敬遠される傾向にある。
これらの考え方を日本の不動産ファンドに置き換えると、当初の不動産鑑定評価が恋意的で割高なものであれば、当然のように投資家への配分は小さくなっていく。 ファンド組成のために多くの資金を費やし、結果的にキャッシュフローを軽視した主観的な「時価評価」では投資家は寄りつかない。
ただ、日本の不動産市場ではFFOの概念は未だ浸透していない。 「売り手」はより高く売れれば良く、「買い手」もまた“買えればそれで良しとする傾向にあり、実際のファンド運営もまた未経験ゾーンであることには違いがない。
したがって、第三者機関がしっかりとウォッチし、内容をチェックすることが求められる。 しかし、それもまた蕊明期ゆえのインフラ未整備によって、投資家にそのしわ寄せが押し寄せる可能性は否定できない。

したがって、「会社型」の投資法人が上場されるなど、投資家により多くの情報を提供し、ファンドの時価総額や運営実績などが定期的に情報開示されることが重要になる。 特に、不動産の時価評価やFFDなどの投資指標の公開は不動産ファンドの命綱になることが予想される。
プロパティマネジメント(PM)については前で説明したが、キャッシュフローを上げるために最も重要なのはプロパティマネジメントである。 プロパティマネジャー次第で、テナントとの確保、賃料交渉、クレーム処理、ライフサイクルコストの削減といった点に大きな開きが発生する可能』性がある。
日本でも、改正投信法の施行で不動産ファンドが立ち上がるのをうけてPMの重要性がようやく注目されつつある。 前ではキャッシュフロー向上、不動産の価値からみたPMを見たが、ここでは証券化商品、ファンド自体にPMが重要であることがお分かりいただけたと思う。
不動産証券化商品、不動産投信の資産のうち、不動産が占める割合は非常に高いと考えられる。 特にJ-REIT(投資法人)の場合、全額を不動産に投資できることから不動産の時価が資産全体の価格を示すと考えられるケースも想定できる。
しかし、本来、証券化商品等の証券価格は不動産の価格とは別に証券市場で形成されると考えられる。 したがって、不動産の時価を求めてもこれがただちに証券の価格を意味するものではない。
証券の価格は不動産のみならず、支払いについての保証、保険の付与状況、格付機関の格付といった、不動産の時価以外の要因も考慮されて決定される。 他方、不動産の時価の把握が必要かどうかという点については今もって議論がある。
しかし、不動産の時価評価の公開は重要な情報開示であり、投資家保護の観点から見ると不可欠と考えられる。 不動産ファンドなどでは、投資家は投資資金をいつでも換金できることを前提に投資する。
換金できないようなビークルは当然に市場から退場宣告されることになる。 多くの投資家はリスク分散に加え、リスクに見合ったリターンを望む。

情報の開示が不十分であれば、それだけリスクが増すことになる。 これは運営するサイドにとってもコスト高になり、ビークルの組成自体も不可能になってくる。
したがって、不動産で運用する場合は当初の不動産鑑定評価がきわめて重要になる。 そこに窓意性や当事者の強制的関与などがあると、資産としての価格自体に疑義が生じる。
逆に、不動産の価値が下落しても、その下落を適正に評価し、′情報開示を行っていれば投資家も問題視する可能性は低いし、訴訟を行うにも材料が乏しくなってくる。 投資に対する自己責任を投資家に問うためには、不動産で資金を運用しているのであれば適正で公正な不動産の時価評価が大前提となる。
このとき、不動産鑑定では収益方式を中心に不動産鑑定評価を行うのが通例である。 特に、一定期間後清算するというビークルの性格から、単年度の純収益を還元利回りで割り戻して評価するよりも、DCF法によって評価する方が妥当である。
不特定多数の投資家の運用対象となるためには、不動産が投資専用のビークルに譲渡(真正売買)される必要がある。 「資産流動化法」あるいは改正「投信法」による投資信託や投資法人の特定資産が不動産となる場合、オリジネーターの関与度や登場するプレーヤーなどの格付けなどが問題となるのは前述した通りである。
また、会計上の5%ルールに抵触しないことも重要である。 投資家への利払いや償還資金、配当などは不動産から得られる収益などがまず源泉となる。

したがって、賃料などがビークル以外の倒産に対して、常に分別管理され、確保されていることが重要となる。 一般的にビークル以外の倒産によって資金をロスすることをコミングリング(混蔵)・ロスと呼んでいる。
この、ビークル以外の倒産における債権者がファンドのなどの資産(資金)を一緒に差し押さえファンドの資産が減少することがないようにする手段が倒産隔離と呼ばれている。 一方で、不動産の評価が時価や収益価格を反映していない場合にはビークル自体の倒産もありうる。
オープンエンド型(買い戻し有り)のビークルなどではファンドによる買い戻し義務があり、買い戻し請求に対応できる資金がなければ倒産となってしまう。 今回の「資産流動化法」や改正「投信法」では不動産の時価評価にあっては不動産鑑定士の第三者鑑定が義務づけられている。
その他、施行規則では公認会計士や弁護士などによるチェックも不可欠とされている。 これからは投資家保護の観点から不動産の時価情報を開示する一方で、ファンドなどの健全性を保つために不動産の時価評価行うプロセスが不可欠である。
たとえば、ファンドに組み入れる不動産について暖昧な評価を行っている場合、「ある日突然時価評価を行ってみたら含み損が巨額に発生していることが判明しました」などと言えば、即訴訟となることが予想される。 また、投資法人などが投資証券等を上場する場合、東証では情報開示として保有不動産の時価情報を年1回公開することも求めている。
一般的な株式などとは異なり、投資証券などは特定の資産(不動産)の時価が直接的に投資証券の時価に反映されることが予想される。

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